Ty HassyのProgressive Innovation

人類の叡智と知の最先端を探求し続けて・・年、知ってしまうと目から鱗の新しい世界観が目の前に拓けてくるかも知れません。その秘蔵ネタをチビリチビリと小出しにして行きます。乞うご期待!

今、アメリカに起こっている事の本質

   アメリカの大統領選挙を通じて見えて来る今のアメリカの混乱ぶり は目に余るものがあります。
 何故、こんなことに成ったのか?
 端的に言ってしまえば、最大の要因は貧富の格差拡大です。
 この貧富の格差の拡大は単にアメリカだけの問題ではありません。 世界中の先進国でも同様の現象が起きています。日本も例外ではな く、特に貧困家庭の割合では日本は先進国の中でもトップクラスの 最悪の状況に成っています。
 いま世界中の富の99%は人口1%の人々のものに成っています。
 つまり、99%の人々は世界中の富のわずか1%だけを分け合って いるのです。
 何故、こんなことに成ってしまったのか?
 それは、企業の株主に対する配当金の上昇率が、企業の従業員の給 与の上昇率より高く設定されているからです。
 これは、株主はどんどん儲かるが、従業員はどんどん貧乏に成って 行く仕組みに成っているという事です。
 では、株主の配当金の上昇率よりも従業員の給与の上昇率を高くす れば良いのでは?と誰もが思うでしょうし、実際そうすれば、見る 見るうちに世界中の全ての人は豊かになると思います。しかし、 株主はあまり儲からなくなります。従って、株主の御機嫌を損ねる ような事はどの企業もしたがらないし、そもそも従業員の給与があ がるとコストが上がって、企業の国際競争力が失われるので、そう したくても出来ないのです。
 では、どうすれば良いかというと、国連が中心に成って、国際的な 取り決めを行えば良いのです。つまり、世界中の企業は、株主の配 当金の上昇率より従業員の給与の上昇率の方が高くしなければなら ないという強制力のある国際協定を作れば良いのです。
 これで、全ての問題は解決します。しかし、そのような国際的取り 決めを成立させるには、そうするべしという国際世論が高まらない 限りできません。
 そのような国際世論を高めるには、世界中の人々が今の貧富の格差 の原因が、そこにあることを自覚する必要があります。
 しかし、残念ながら、まだ上記の様な認識はごくごく一部の人々に しか共有されておらず、殆どの国の指導者は、トランプの様なアメ リカの人々が仕事を失うのは、中国や不法移民が安い労働力で仕事 を奪うからだ!と言って、原因を貿易不均衡や不法移民のせいにして いますが、上記の様な国際的な取り決めをしない限り、企業が安い 労働力を求めて、高い給与の従業員は切り捨てようとするのは止め ることはできません。だから、 世界中で人々の給与水準は下がり続けているのです。日本も今の給 与水準はバブル期の半分ぐらいかもしれません。そして、 儲かっているのは、どんどん上昇する株の配当金を得ている株主だ けなのです。
 しかし、世界中の人々も政治家も、問題の本質が、従業員の給与の 上昇率を、株主の配当金の上昇率よりも高くすれば良いだけだとい う事実に気づいておらず、全世界的にそういう規則を作ってしまえ ば明日からでも実行できるという事実に思いが至らず、 対処療法的に、移民の流入のせいにしたり、イギリスの様に自由貿 易から離れようとしたりと、的外れなことばかりしているのです。
 各国とも問題の本質を見誤っているせいで、状況は一向に良くなら ず、貧富の格差の拡大によって人々のフラストレーションは溜まり に溜まっており、その矛先が、移民やマイノリティーに向かってい るため、今、世界中で民族主義や白人至上主義的な運動が巻き起こ っています。
 アメリカのトランプも失業問題を解決しようとはしていましたが、 結局は減税などで株主達の都合の良いように利用されただけで、彼 のアメリカの保守層や白人至上主義者たちの支持に応えようする姿 勢により、人種間の分断がますます深刻になり、人々のフラストレ ーションはより一層人種間や保守とリベラルの対立に向けられるよ うな状態に成っています。
 更に、問題をややこしくしているのは、Qアノンという陰謀論を信 じる人々で、今の問題の全ては、アメリカ全体を陰から操っている 闇の勢力のせいだとしているのです。
 しかし、彼らが信じている内容はあまりにも荒唐無稽で、後々になっ て全部嘘であることが分かるような内容ばかりに成っています。
 このような嘘を本気で信じる人々は、最終的に社会的信用を失うの で、今後は誰も陰謀論など信じる人は居なくなると思います。 しかし、ひょっとするとそれこそが最大で本当の陰謀なのかもしれ ません。